脊髄反射でオブラート

chaoruko@HatenaBlog

『桐島、部活やめるってよ』を観たらどろどろ

 ついに観た。神木くんがぬきんでてで素晴らしい。東出くんは予想より良かった。もっと下手かと思ってた。

 観ているあいだは楽しかったけど、ちょっと時間がたつと、過去の暗黒面が暴かれてどろどろ汚いものが吐き出されているような心地になってきた。
 
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 高校時代はポジティブでダークだ。部活にはまっていたせいで、二年のときのクラスメイトとは交流した記憶が薄く、ヒエラルキーの底に追いやられていた。美術のデッサン中に、教師が席を外したときに、生徒どうしでイメージカラーの話になって、とある女子に「chaorukoさんのイメージカラーは灰色」と言われた。
 都立の上位校で、偏差値や内申点の高い人たちの集まりである。勉学諸々についてプライドがあるならば、そんな下品なことはしないはずだ。それなのに、二年生のときのクラスだけは、ヒエラルキーみたいなものがあるようにふるまう人がいた。上位に居ようとふるまう人たちも多少いて、彼らは、天然の上位の人たちにくっついてた。灰色だよねと言った彼女は、くっつくほうの一握りだった。
 彼女はすごく体がやわらかくて、姿勢が良くて、たしか英語ができた。先生と堂々とわたりあって話をしていた。そのふてぶてしさは、不遜にみえることもあった。彼女は男女ともに友だちが多くて、上位グループのようにふるまってた。
 高校はあきらかに平均身長が高かった。160センチ半ばだと中学(田舎)のときは後ろから数えたほうがはやかったが、高校に入ると同じような身長の人がたくさんいた。
 背の低い人もいるが、彼女はなかでも背がすごく低かった。だからいつも姿勢がよかったのだろう。そして色黒で、少しぽっちゃりで、鼻の穴が大きくて目立っていた。髪は天然かどうかどうでもよいが、パーマをかけたように長くソバージュで茶色だった。
 なぜ彼女はそんな馬鹿なようなことをしたのか。彼女は自分で自分に汚い消えないシミをつけたのだ。じわじわと彼女をずっと汚すような。ずっと解けない呪いを。
 貴女は、あのころべたべたしていたアメフト部の人気者のような、背の高い体格のよい男の人と幸せな結婚をして子どもにめぐまれいますか? 仕事で充実していますか? 自分が納得できる笑みを浮かべられる毎日を過ごしていますか?
 あのときどうして灰色なんていったのか、理由を教えてくれと言ったら、説明してくれますか? あのとき不快だったから謝ってくれ、と言ったら、謝罪してくれますか? 謝罪しないなら…
 
 
(こういうことをつきつめると確かにフィクションのネタにはなる)
 
 そんな具合に、トラウマを刺激する映画だった、私にとっては。
 醜いマグマのようなものがドロドロと流れ出てくる。忘れてしまえば良いが、忘れたふりだけだと、時々こうやって地獄の蓋があけられてしまう。
 時々パカッとあけて、流し出してしまえば、そのうち本当に忘れてしまうかもしれない。
 実際のところ、彼女に興味はない。いま、納得できる笑みを浮かべつつ毎日をすごしているなら、おぉさすがだなぁそれっぽいわと思うし、何らかの不幸を抱えているならざまざみろともかわいそうとも思わない。あのときの十七歳の少女の、そんなことを口にだしてしまう軽薄で陰湿な少女の内面については色々想像はしてみても、それはもう虚構の話。貴女とはもう関係無い。こうやってネタにして書くくらい。時間も何もかも、経ちすぎている。