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『双頭の悪魔』感想、推理小説にも読みどきがあるのか

双頭の悪魔 江神シリーズ (創元推理文庫) | 有栖川 有栖


 火村先生は何冊か読んでいる。『双頭の悪魔』は読むべき本格推理小説Twitterで誰かがおすすめしていたので、読んでみた。Kindleで。


 以下ネタバレあり。


 小説は92年にでたもの。92年というと、自分は大学生なので、登場人物たちとまあまあ近いことになる。ただし作者は一回り以上年上なので、大学生のイメージはマイナス10年ぐらいだろうか。バブルの頃かなー。


 なんとか読んだ感想としては、「アガサ・クリスティってえらいんだな」だったが、それは小説がつまらなかったわけではなく、自分が小説を読むときに何に重きをおいているか、という問題だ。
 ただ率直に言って、長い。こんなに書けることはすごいけど、ちょっとこんなには要らん、と自分は思ってしまった。紙の本での量を確認していたら、多分読まなかっただろう。それでも一応読めたので、どちらかといえば好きだし、読みやすい作者のほうなのだろう。


 長さも気になるが、アリスたちがとにかくがぷがぷ酒を飲むのが、昔の大学生といった雰囲気なのだが、面倒臭くてうっとおしい。インテリで育ちはいいが、酒によった頭でいろいろ推理をされても。そういうのが面白い、かっこいい時代だったんだなあ、なんて思う。
 まあはなにつくのはそれくらいで、大学生たちはそれなりに愛嬌がありチャーミングだ。かわいい。
 そう、かわいいのだ。
 自分はもう大人なので、簡単に言えば萌えない。
 その「萌えない」ということは、終盤の大事な、謎解きシーンへの思い入れを非常に減らすという影響がある。いや、それとも、そこの書き方がくだくだしくて面倒臭いだけだろうか。ポワロさんの謎解きだったら、まあまあけっこう長くてもなんとなく読めるのか、自分は。ポワロさんだったらいいのか?


 推理小説をわりと読むけど、推理はとくにこだわっていない。バカなので頭のなかで組み立てたりしない。じゃあなにが面白いのかというと、犯人や殺される人や謎解きする人や、でてくる人々が、事件についてどんなことを言うか、立ち回るかが、いろんな人がでてきて面白いな、と思うのだ。登場人物への思い入れだ。
 今回の小説は、謎解き側はそれなりにかわいいけど、マリアのなんかうつうつしている状態はまったく気持ちの入りようがないし、なにか雰囲気のある江神さんももはや年下の若人だし、アリスはまあかわいいけど、物語の中心ではない。というか謎解きメンバーが多いので、印象が分散してしまう。怪しい大人たちは、それなりにこったキャラクターだが、面白いとも最悪最低とも言い切りにくい。
 山奥の村の描写とか、村人とか、そういうのはわりとまあまあいいんだけど...。


 ポワロさんは昔のイギリスのお金持ちの風俗であり、自分からすればファンタジーだ。そしてドラマもあるので、雰囲気をイメージしやすい。しかし高知の山奥の村に、アーティスト?な人たち、京都名門大学の頭のいい酒を飲みまくるくだくだとしゃべる学生たち、なんだかよくわからんヒロイン、と、全体的に筆力はものすごいあるのはわかるんだけど、それゆえに量が多くて、それいらんとはいわないけどいるのかな...が多くて、読むのが面倒くさくなる。

 誰がしゃべっているかわからないとか、クリフハンガー状態だと、私は先に読んでしまう。戻って読み直すけど、そのハラハラドキドキのプロセスが、落ち着いて読めない、ただの煽りのようなものは読まないのだ。
 この飛ばし読みは、ポワロさんだとやらない。東野圭吾ではやったので、もう読まないことにしている。宮部みゆきもやっていない。


 犯人が誰だろうが気になりすぎるのはだめで、そんなことより、いまそこで進行している物語のほうが面白くなければ、ならないと思うのデス。ポワロさんはそういう点で、ちょっとむかしのイギリスのお金持ちの風俗というところが、面白いと思ってしまう。嫌味だが。しかしバブル期?の大学生とかどおでもええわ、と正直思うところはある。


 もし大学生とか、若いときに読んでいたら、めちゃくちゃ面白かったかもしれない。内容はすごくいろいろバラエティ豊かで、ああすごい頭がいい、知性と教養と遊びもありますよ〜〜んん、というのが満ち満ちているからだ。
 でも50歳がもう近いという歳で、わざわざ読まなくてもよかったな、であった。わ。


 火村先生のがいくつか面白かったから読んでいたが、えええこれ??というのにあたって止まっていた。そしてさかのぼって今回代表作を読み、昔のはもう読まないほうがいい気がしてきた。新作はもしかしたら読むかもしれない。面白いか面白くないのか、わからん。推理小説が好きな人は読むべきだ。推理小説を読むけど好きなわけじゃないというよくわからん話。