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おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

ポッドキャスト『生活が踊る歌』の南部広美さん登場回がすごい

Amazon Musicで『生活が踊る歌』の特集: 南部広美 presents ゲレンデDJから見た90年代前半の音楽シーン

Amazon Musicで『生活が踊る歌』の特集: 南部広美 presents 昭和の興行にみる歌謡曲1976-1985


 ポッドキャスト番組『生活が踊る歌』は、高橋芳朗さんとジェーン・スーさんが主に洋楽について、自由自在に語り倒している番組。10分ほどの時事ネタと、40〜50分ほどの特集の2本が更新されている。ふだんも面白くて、作成されているプレイリストを聞きたいがために、Music Unlimitedのお試しにも入った。最初はプライムでPodcastだけきいていた。


 その番組に先日、スーさんのピンチヒッターで南部広美さんが登場した。南部さんといえば、TBSラジオの夕方の帯番組、荻上チキ・ Session | TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~のチキさんより色んな意味で強いといっていいだろう、スーパーフリーアナウンサーである。
 夜の時間帯のときから、なんかすげえひとだな〜と、なんとなく思っていたが、今回はそのすごさを裏付けるに十分なトークを展開してくれた。


 1回目の話題は、「ゲレンデDJ」である。どうもこの番組より以前に、夕方の別の番組、アフター6ジャンクション | TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~に南部さんは出演して、そのゲレンデDJとやらについて語ったらしいのだが、それは知らなかった。そこまでまめに聞いてはいないのでしょうがないが、痛恨の聞き逃し。だから、はじめは、ゲレンデDJとはなんじゃろな〜?とぼんやり視聴開始。


 これがめちゃくちゃすごかった。あまりにもすごかったので、いまの音楽の聞き方が劇的に変わるくらいであった。詳しい内容はもちろん聞いていただければよいのだが、自分がうけた衝撃は「音楽は場をともなうものであり、場をともなう音楽のほうがまっとうではないか?」ということだ。ここにおける「場」とは、ライブ会場や音楽イベントではなく、「ゲレンデ」だ。
 かつての音楽というのは、生演奏で、残らないもので、それが演奏される場所というのは、人が集まり、音楽を聞くためではなく、場を盛り上げる、場を作るためのものがすべてだった。宗教音楽でも世俗の音楽でも、場や場に集まる人々の目的のために、音楽はあった。それがいまは、場や依頼によるものではなく作り手の作品になり、録音技術によって、場も生演奏からも切り離され、パッケージ化されたコンテンツ、一冊の書籍と同じようなものになって、パーソルに消費されるものが、ほとんどになっている。
 それは音楽なのか、残る音楽なのか。耳だけで聞いているものは、どれだけどこまで音楽なのか?? (無理矢理究極的に言えば、録音された音楽は別の名前をつけるべきであったかもひしれない)コンテンツという形態になった音楽は、果たして未来まで残るのか。未来はもしかしたら、コンテンツでの消費は専門家だけになり、生演奏しか音楽ではない時代がまたくるかもしれない。
 なんてあれこれを、勝手に思ったのだ。ポッドキャストのなかでは、そんな適当な観念的なひとりよがりな話など、もちろんしていな
い。ちゃんとした具体的な話であり、具体的な話であるからこそ、猛烈に価値がある。「南部さんすごい」とスーさん復帰回でもおふたりが話していたが、本当にすごい。マジでやばい。その時代のプレイリスト、音楽それ自体もかなり価値があって圧倒されるけど、「実際の場に基づいた音楽の話」がすばらしくすばらしいので、とにかく聞いてみてほしい。


 そして2回目は、南部さんが足を運んだの「興行」ヒストリーである。そう、興行なのだ。単にライブ歴やコンサート行きました履歴の話ではない。地方と当時の流行の話題をとりまぜつつ、圧倒的な「南部さんすごい」トークが展開する。もしかしたら、子供の時代に地方に住んでいた人は、同じような楽しい話をそれぞれ持っているかもしれない。だが問題は、「覚えていない」ことだ。かなりすっかり忘れている。
 時代の音楽と、自分の幼少期から思春期それ以降の、自分の音楽変遷を振り返って語ることができるようになるのは、おそらく40代後半からだと思われる。ソースは俺。しかし、冷静に振り返ることができるようになった頃、忘れている。記憶はすかすか。チケットや日記など、記録を残していたりしていない限りは。


 こういう証言や記録が、何の役に立つのかってえとよくわからんのだけど、きいていてとにかく面白いので、みんな(??)も、記憶を掘り起こして、書いたり語ったりしてみてほしい。聞きなおしてプレイリストを作るのもいい。この先の人生もまだまだ長いのに、生きていたら忘れるばかりだし。
 ポイントは「はじめてはまった」アイドルやミュージシャン以前の、できごとだ。近所のイベントにきたとか、チケットをもらったとか、親が好きでつれていかれたとか。なんのかんのと、「はじめてはまった」より、成り行き偶然のもののほうが、影響が大きいのではなかろうか。あんがい、自分が好きなものの基礎は「はじめてはまった」以前にあるのかもしれないとなると、現在からこれからの、音楽の好みや視野が広がるのではなかろうか。


 そして重要なこと、とても重要なことをお伝えしたい。ジャニーズ事務所は、あらゆる世代のグループの楽曲を、配信してほしい。時代を彩ったさまざまなヒット曲が、ほとんど聞かれなくなっているというのは、損失だ。近藤真彦やシブがき隊や少年隊やSMAPを聞きたいニーズは、いまのジャニーズの若手の活動とはぜったいに競合しない、邪魔はしないから! たのむまじで。そうしないと完全に忘れられるだけだ。古くからのジャニーズファンはそんな寂しい老後しかまっていないのか。CDぜんぶを終の住処にもっていける高齢者はほとんどいないよ現実的に(なぜこんな訴えになるかも聞けばわかる)