茶ぶろぐ

おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

『進撃の巨人』の子安さんがすごい

進撃の巨人』の子安さんがすごい。
 ふりかえると、アニメの第一期は2012年らしくて、こんなに長い間ほぼリアタイで観ているアニメか…、と遠い目になりつつ、もう毎回毎回いろんなものに圧倒されーのされーのされまくりーなのだけど、最新話ではおいなんかもうめちゃくちゃだよ!な展開にあんぐり圧倒されまくりつつ、子安さんの声や芝居にぼんやり感動してしまった…。


 以下アニメのネタバレあり。




 おサルもとい獣の初登場はかなり昔だ。獣はなかなかしゃべらなかった。獣なんだから、巨人なんだから、人ではないからしゃべらないのだ。巨大であやしくて圧倒的で、不気味で、畏怖の象徴だった。
 それが少しずつ、すっごい少しずつ言葉を発しはじめるた。「シャベッター!!」だったような。子安さんである。配役の時点で、もう何かある、としか思えないが、それでも、相変わらず口数が少ない、登場シーンが多くない。なかなかどういう存在なのかはっきりしてこない。おっさんだし、うさんくせえし、人をくったような話し方ばかりだし。(その、人を小馬鹿にしたような感じも、またほんんとにうまい。うますぎる。)


 そもそも、作品全体が、登場人物が多い。その大量な登場人物をすごい巧妙にさばいてはいるけれど(それにも圧倒される)、主人公すら、本当に出番が少ない。主人公もあれやこれやのあれあれだし。いわんや他のキャラクターにおいてや、である。


 それが最新話で、ほぼほぼいっきに諸々が説明された。そして声だ。
 幼い頃は他の声優さんがあてていたが、青年になると、子安さんだった。


 青年期は、あのお猿が、メガネのもふもふおっさんが、ハイパー美麗イケメンだ(MAPPA補正?)。
 力強く、繊細で、儚い。憂いおびまくりのテラ美青年である。その上にあの声だ。
 彼らの描写時間は少ないが、重要ポイントがつめこまれすぎていた。あっというまに、あの短い時間のあいだに、少年から青年の、痛みと願いと望みが、いたいほど伝わってきて、感動してぼんやりした……。


 むろん、演出や話の運び方もあってのことだろう。もっていったところのピークに、超ド級美青年は現れる。その過剰ではないかと思われるほどの美麗な見目。その美しさに対するワーキャーミーハーな感情を、彼らはあっという間に凌駕していった。苦しい過去をもった男の感情は激烈だが、青年の語りは若くも抑制されている。それが余計にこちらの感情を強くゆさぶる。
 壁際とエレンと会話では、淡々とした大人のおっさんの語りだ。エレンの答えに思わず涙ぐんでも、声は落ち着いている。まるで橋をかけるようにボールをなげる。


 この作品、いままでいろんな超展開や、数々のキャラクターの胸をうつ名シーンがもりもりのアニメなのに、最後のほうでまたこんなにも、まるでお前が主役かのようにもってってしまう。すごい。
 そもそも先週というか、その前の話は、ワーギャーヒーー!!な展開で、浩Cさんすげえ……と圧倒されていたのに、二回まとめて放送配信だから、次の日に次の話をみたら、もうぜんぶ子安さんにもってかれた。


 こういうのをみると、漫画もアニメも文化的に成熟してきたなあ、と思う。男女の描き方もむかしとは違う。子供向けではなく、大人の鑑賞に耐えるすばらしい作品だ。(無論、肝ともいえる残酷描写は強烈すぎて、無理な人も多いだろう)それをほぼリアルタイムでおっかけてこられてきたことは、すごく幸せだなあと感じる。ベテランのここぞという見せ場のある、長いスパンの、こんなお芝居を観られるのもすごくうれしい。


 雨のなかを、さびれた馬車と、鬼気迫る二人の男。なんてさ、映画みたいで、こういうのもとてもいい。めっちゃ痛くて怖いけど。