茶ぶろぐ

おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

「チケット転売」のおもひで

 むかしの、2001年か2002年ぐらいの話。(もう何度かwebのどこかで書いている話)


 いろんなアーティストが出演する、なかなか豪華なイベントのライブのチケットが手元にあった。それはスペシャルイベントで、チケットがすべて無料だった。ペアチケットだった。(妙なところで宝くじ運をつかっていやがる。)
 同行者がいなくて、現地でみつけよう、と見切り発車した。「チケットさがしてます」という人のうち、自分と性別が同じで、年齢がなるべくちかい、怖くなさそうな人をさがした。(やはりA4サイズぐらいの用紙にしっかりと書いてあるほうが、話しかけやすい。かつ、あまりせっぱつまった顔をしていないほうがいい。来ればラッキーぐらいの雰囲気がよろしい。私の場合は。)それらしい人をみつけても、あまりじろじろと観察はできないので、ジャッジは一瞬。あとはまさに突撃である。


 声をかけたのは、若い女性ふたり。1人はすでにチケットを確保していて、もう1人分を探していた。席が近かったりしたら、自分のチケットを二枚と交換してもよかった。だが、そちらのチケットのほうが、いちおうステージには近そうだったし、おふたりも、ばらばらでかまわないとのことだったので、そのまま一枚だけ渡すことになった。
 話がまとまりかけたとき、むこうから
「おいくらですか」
と警戒した顔でいわれたが、無料のイベントのチケットなので、当然無料でと告げる。びっくりしてすごく喜ばれた。他のおっさんには、ものすごい金額をふっかけられていたらしい。


 隣の席になったのは、とてもふつうに良い方で、並んで楽しく過ごさせてもらった。いちばんの推しはそれぞれちがっていたが、ちょっとイマイチじゃね?、と思うアーティストについて、傾向が一致していた。ああ、この人うまいけど客をのせるのがいまいちだね(ケミちゃん以外でもそういう人はいたの!!)とか、このひと有名だけどそんなにうまくないんだね、とか。あははは、えらそう。
 終演後、同行者さんの同行者さんに再会して、お元気で軽くあいさつして、別れた。ライブは全体的にとても満足したし、楽しかったし、その人も楽しかったようだった。


 でもすでにあったチケット一枚は、8千円ほどで手にいれたらしい。一万円以下ならちょろいかもしれないが、無論そういう話ではない。そもそも無料のチケットだ。0円に数千円である。けしからん、違法行為だ!、なんてまでは思わなかったけど、数千円と0円で同じライブをみた、ふたりの友情はその後大丈夫だったのかなとは、なんとなく気になった。
 いやいや、そんな心配する必要なくね!!、と頭のどこかでは、同時に思っているので、良心の呵責というほどではないけれど。


 チケット転売も、ぶっちゃけ、小さな利益で満足していれば、ややこしい話にはならなかっただろう。でも、景気は悪いのに(悪いからこそ?)、数万円とか、一桁あがる世界になってしまった。そりゃもう、反社会的な集団の稼ぎになってしまう。転売の何が一番悪いってそこだ。自分がどうしても会いたいから、純粋に会いたい気持で、とか、そんなのは1ミリもピュアではなく、ただの罪なのだ。反社会的組織に資金提供している、犯罪者に加担しているのだ。推しへの思いを、自身の魂をそんなことで汚してよいものか? それで推しが関係ないをつらぬきとおせると思ってるのか? チケット転売が問題になれば、推しサイドが「すいません」とか言うはめになる。(まあ人気がですぎたらそれなりの責務は生じますけれども》
 そもそもピュアな思いでもなんでもなく、自分が快楽を得るために金を払うだけで、税金がすべて健全な使われ方をしているわけではないように〜〜〜とか、言い訳はなんでもできるわなー。


 願わくば、あのひとが、0円に数千円をだしたのは、あとにもさきにもそれっきりだったらいいなあ、と思っている。あの人たちは、いまはどうしているのだろう。お互いさまの話だけど、当時と同じ推しをゆるゆると推しながら、なるべく健康に生きてくれていたらいい。