茶ぶろぐ ただのにっき

chaoruko@HatenaBlog

コーヒーとラスクと

 ドトールミラノサンドを食べる。ミラノサンドはずっとおいしい。はじめて食べたのは就職活動のときで、就職活動のあいだ、よく食べた。就職して社会人のあいだも、近くにあるときはときどき行った。ミラノサンドだけではちょっと足りないので、サラダをコンビニで買っていた。わたしのなかだけでも二十年以上、ずっと美味しいのはすごいことだ。街のなかのオアシス。たばこは吸わないけど、妙に安心できる可能性が高いお店である。

 すぐ近くに、おばさんが座った。おおきなテーブルのお誕生日席に座っていたのだが、その右手に、直角に向き合うところに、その人はきた。かつてのおばさんぐらいのお歳で、いまどきだいぶレアな事務員な制服を着ている。ちょい前の二時間ドラマで、聞き込みに訪れた主人公たちに期せずして嬉々として、被害者や容疑者候補のうわさ話をしそうな、いかにもそんなふんいきの、ある意味、懐かしい骨董的価値のある、かもしれない、貴重な雰囲気のおばさんである。

 文庫本をおいて、大きめのブレンドコーヒー。それはよいが、菓子は持ち込みだ。店にじぶんで持ち込んだ有名菓子店の、有名ラスクをばりぼり、堂々とむさぼり食う。

 まじかー、まじでかー。こんな客がいるから、世の中ギスギスするんやでー。

 とか、内心ぼやきつつ、しかし、なるべく視界に入れないよう、ほっとく、忘れることにする。

 しばらくしてから。

 用意してた文庫本を開いて読みはじめていたおばさんは、「ハクション!! ハクション!!」と大音量で大きなくしゃみをした。よく響く、おおきなくしゃみ。くしゃみはいつだってとつぜんで、とめられない。しかたがないことだ。風邪というより、花粉症的なそれだ。一度や二度ではなく、繰り返す。止まらない。けどおばあさんなおばちゃんは、読書を続行しようする。ハンカチをあてるでも、マスクを取り出すでもない。

 あまりの連発に、スマホにのめっていた左手のおばさんも顔を上げる。彼らの間には増加のパーティションがあって、お互いしっかりと視界には入らないのだけど。

 すでにミラノサンドを食べ終えていた。辛抱足りない自分は、ブレンドコーヒーMを流し込み、荷物をつかんで席を立った。

 店員さんの妙に澄んだ声の「ありがとうございます、おあずかりしまーす」をききながら、逃げるように店を出る。長居するつもりはなかった。おばさんのおかげでダラダラせずに済んだ。とエセポジシンキングしてみた。