フィギュアスケート世界選手権の、アイスダンス(リズムダンス)と、女子フリーを観に行った。行くまでの準備とか現地でのあれこれとかネタはいろいろあるけれど、とりあえず。
予定では、12時から16時までがアイスダンス、17時半から22時までが女子フリーなのだが。そんなに長丁場、さすがにいきなり初心者が観られるわけははないだろうと、のんびりでかける。うろうろしてから席についたら、ちょうど2度目の製氷が終わったぐらいだった。アイスダンスは15時ぐらいからみた。リズムダンスはシングルでいうショート。15時からは、世界ランクが上位の人たちのグループの時間帯だった。
はじめて生でみるアイスダンスは、本当に夢のようだった。銀色の盤上をくるくると舞い踊る美しいお人形さんたちのような、まさに少女の頃に夢に描いたような、あのくるくる踊るオルゴールのような、非現実的世界である。どのグループも「すげー」「ほわー」とまぬけな声をあげるばかりであるが、最終滑走、パパダキスとシゼロン組(もちろん名前なんてあとで調べたていど)が、軍抜き段違いですごかった。滑り始めた瞬間に、「あ」となる。音楽との一体感、パートナー同士の一体感、なめらかさ、すべて超越的な光景だった。素人でも分かるすごさ。
16時すぎて、次の女子フリーまで休憩。館内をうろうろ歩いたり、女子トイレの個室の数を数えたり。
17時半から、女子フリーが開始。
- 4グループにわかれており、1グループ6人。1グループほぼ1時間弱。
- グループのあたまで、6分間練習(6人が自由に6分間滑る)、選手の紹介もある
- 2グループが終わったら、15分の製氷作業がある。実質の休憩
ショートの成績でうえから24人が、成績順に4つのグループにわけられ、グループの中の滑る順番は、くじ引き?らしい。全体で、観ているとだんだんうまいひとになるので、1,2グループは点数が低い人たちではあるが、とはいえ世界選手権である。国や地域の代表の代表なので、下手なわけがない。みんなすごいぜんぜんうまい。ジャンプの失敗とかスタミナ切れとか、なるほど確かにみてわかるけれども、レベルが高い。
演技がおわると、そんなに悪そうにみえなくても、本人はしょぼんとしていたり、泣きそうですごく落ち込んでいる選手もいる。あるいは、明るい笑顔や、感極まって泣きそうになっている選手もいる。どちらも、ものすごいファイティングスピリッツを感じたし、感動的だった。
フィギュアスケートは、自分と戦う、自分に勝つしかない競技なのだ。
自分がその時点でできる最適最高のプログラムを組み、それを本番でやりぬく。そもそも設定しているプログラムに差がある相手には、絶対勝てないのである。だからそこはあまり問題がない。自分がそこでそのときそれをやりぬくかでしかない。
だから傍からみたら、けっこういいじゃないのとみえても、本人が不満があれば悔し泣きだし、限りなくミスがなかったり、たとえジャンプでこけたりしても、いい出来ならばはちきれるような笑顔だったり、感激の涙である。シーズンベストの更新が多かったけど、それでも本人は納得がいかない表情だったりして。厳しいのだ。点数が発表されるときは、会場に2箇所ある大型モニタに、選手やコーチがうつっているので、表情がよくみえる。演技中も映像がでているけど、リンクをみているので、あんまりみない。
実際にみて、テレビとの劇的な違いは、スケートなので「滑る」「移動する」ということがよくわかるということ。常に全身を観ていられるということ。テレビで高画質になって選手をきれいにおっかけられるようになったのはいいけど、それでも十分ではない。ひろいリンクを十分につかって行われている競技だ。だが現時点で、その魅力をつたえてきっているとは言い難い。カメラで追うということそのものが、阻害しているから。
アイスダンスでは、ときどきカメラがひくけれど、それはアイスダンスは「移動する」とくに見所になるからだ。リンクをたてにすいすいすいと優雅にすべってくるのなんて、もっともぞくぞくする。
スケートの魅力は滑ること、移動、スピンなど、氷についているところにおいてである。ジャンプが四回転だとかいっても、本当に次の世代が、よい競技者になれるかなんて、まだわからないのだ。(順番としては、ジャンプが先であと、細かいところを上達していくんだろうし、結局できるようになっちゃうんだろうけど…)
チケットは2万円。当たらないと思っていたのに2人分あたってしまったときはくらくらしたけど、いってみれば内容としては高くはなかった(設備や運営については怒髪天、選手への賞金を調べてさらに)。世界選手権なら5,6年に一度しか日本でもないし。座席の狭さは拷問なので、次はもっといい会場ないのかな。
夜遅くに家にたどり着いたら、一週間月に行って帰ってきたような感覚だった。