大学に入ってから、「東京のお金持ち」というものに出会った。
高校は都立校だったから、名門校だけど、そんなお金持ちはいなかった。お金持ちといえば、医者ぐらいだし、それでも勤務医だから、そこまでつきぬけた感じではなかった。
大学に入ったら、東京のお金持ちがいた。
東京のお金持ちというのは、当然のように中高私立で、もしかしたら小学校も私立で、親とか親の親が大企業のえらい人とか、経営者のなんとかだったり、近現代史にちょっとあれ?、と名前がかすったりするような人たちである。もちろん住んでいるところは昔からのいいところ。
嫌な感じのひととはお近づきにならなかったし、衝突するようなことはなかったけど、住む世界が違うなあ、と時々思った。彼らはいかにもブランドものを身につけてたわけではなく、当時はわからなかったがけど、たぶん、東京のいい店のものを持っていたり着ていたのだ。だから流行りど直球の服ではなく、しかしあつらえや仕立てがよいものを持っていたし、常にこぎれいだった。
伝聞だが、東京には「土地持ち」という金持ちもいる。東京郊外で、土地を持っていて、勝手に地価があがって、本当に何もしなくても食っていける人たちだ。
あやしい金融業の金持ちもいる。なぜかケチな会社をやっていたりする。
財閥系という金持ちもいる。金も家柄も、学歴も、なんと職歴もある輩だ。たぶん働かなくてもお金があるのに、学歴も高くて、高い資格を持っていたりする。
春になると、お金持ちに出会ったことを思い出す。