某文豪たちがキャラクター化されてでてくるゲームがきっかけで、織田作之助という作家を把握し、『夫婦善哉』の作者としり、『夫婦善哉』を読んだ。大阪のこってこての話だな〜と読み始めたが、とちゅうから謎のグルーヴ感もあって、加速して読めた。なにがなにやらわからんが面白かった。読んでいるときが楽しくてかつ、時々線をひっぱりたくなるフレーズがあり、○○がいっぱいでてくる。関西人は必読書であろう。おもしろかったのでもうひとつ『秋深き』という短編を読んだ。『夫婦善哉』に比べると、エッセイのような雰囲気に近いが、落ち着いており、これも途中から大変奇妙な感覚に襲われた怪作だった。オススメ。短いので時間がないひとはこちらを読めばよい。でも『夫婦善哉』も長くはない。
文豪には種類がある
a. 作者の名前を知っていて作品も読んでいる。
b. 作者の名前も作品名も一つ以上知っているが、読んでいない
c. 作者の名前はなんとなく知っているが、作品名はしらない
d. 作者の前も作品も知らなかった
e. 作者の名前は知らないが、作品名はしっていた
織田作之助はeパターンだった。ゲーム中の織田作之助くんは長髪イケメンでうるさい関西弁野郎である。最初からぐいぐいでてきてたくさんしゃべるのでなんやねんこいつと思っていた。
bの顕著な例は、田山花袋『蒲団』、小林多喜二『蟹工船』、尾崎紅葉『金色夜叉』。
cは、国木田独歩、菊池寛(『真珠夫人』は一応しってるけど)、徳田秋声、武者小路実篤、永井荷風。名前がかっこいい人はこれになる傾向がある。
dは、佐藤春夫、横光利一。これはあとからeになる可能性はある。
読まされる教科書系は強い。谷崎潤一郎は意外とちゃんと読んでいない気もする…?
最近ゲームのなかで、太宰治のイベントがあったので、佐藤春夫という人が太宰の関係者?らしいことはなんとなくわかったが、作品を読んでみようとおもったら、青空文庫にあまりなかった。『田園の憂鬱』どんな話かな…。
そうなのだ、青空文庫なのだ。文庫本買えばという話ですが、短編はとくに青空文庫はありがたい。長編は紙のほうがまだ読みやすい。『夫婦善哉』は長さとしてはぎりぎりKindleでもいけるくらいだった。
実は夏目漱石でちゃんと読んだのは『こころ』くらい。短編はちょくちょく読んでいるけど。猫は挫折したし、他のやつは、長そうで読むのが大変そうで読んでいない。読まねばならぬと思えども、ぐじぐじしてめんどくさい。『こころ』は宿題だったし、高校生だから読めたのかもしれないし、何度か読み返した。しかしほかは難易度高い。芥川龍之介は読むのに苦労しない。太宰治は文章は好きだけどめんどくさい系ではある。
そのゲームは、いろいろカルチャーショックが多い。
- すごく電池を食う。スマホのゲームとは思えない。電源がないところで1秒たりとも起動できない。
- 重い。動作がすごく重くて遅い。
- ゲームなのかなんなのかよくわからない。戦闘にいくとかってにゲームが進む。やるのは文豪たちにめしをくわせたり、治療したり、装備を増やしたり、そういう保守作業みたいなゲーム
こうも動作が重くかつ電池をむさぼる。そんなレベルのアプリがこうまでも堂々と世の中に出回ることができるのか。
ものすごいショック。
ゲームに手をだしたきっかけは、萩原朔太郎で野島健児さんなのだけど、そんなにたくさんしゃべるキャラじゃないし、そもそもこのビジュアルには別にそんなに引きはなく、朔太郎だからエズラみたいなしゃべり方をするわけでなく、そろそろどうしようかと思い始めている。
太宰のイベントは織田作之助と佐藤春夫がおしゃべりしていて、まあちょっと面白かったかな、ぐらい。途中で気づいたけど、字は読まずに声をきいたほうが楽しいらしい。絵はなんなのか。わからない。むつかしい。声だけのゲームでいいんじゃない? それはお金がかかりすぎて無理なんだろう。
その他、置鮎龍太郎さん、緑川光さん、三木眞一郎さんとかは聞けるとうれしいけど、なかなかそんなにしゃべるイベントがあるわけでもなさそうだし、同じようなことを動作の激烈重い電池をくうという条件下でやり続けるのはアホの苦行だ。この太宰治のような中村悠一さんにはもえないし。大人っぽい声の人は大人声が好きで、朔太郎はキャラ的に控えめうぃすぱーぼいすだけどそれはそこまで好みではないので、惜しい。
いくら実力派イケボをそろえても、絵と台詞の断片でごはん何杯もいけるわ〜〜〜!! というような1人で10人並みの想像力はない。
このゲームはとうらぶほどはたぶん人気がなくて、知名度とかもよくわからないけど、しかし、私はオダサクの作品を読むにいたった。世の中、こんな出会いもあるのですね。
文豪の代表作も、あらすじは見ないで、前情報なしで読んだほうが楽しいです。
新潮社 (2016-08-27)
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