茶ぶろぐ

40代のライフスタイル@TOKYOブログ

『ベイビー・ドライバー』のキレキレっぷりハマりっぷり

映画『ベイビー・ドライバー』オフィシャルサイト|ソニー・ピクチャーズ
www.babydriver.jp


 エドガー・ライト監督の『ベイビー・ドライバー』観てきた。情報はなるべく少なくしておいてよかった、よかったーあーー!! つかみはオッケーすぎる冒頭から2時間弱、いろんなツボをおされ続けて、大変だった。こんなに面白く、こんなにうまくメジャーとマイナーが混ざって、やさしく強烈に苦く、意識して受容できたこと以上の刺激を与えてくる、単体の独立の新作の、映画館でみるからこその映画として500,000,000点の作品はそうはない。


 以下ネタばれあり。未見の人は読まないで。

主人公

 主人公がかわいくてかっこいくて優雅で切ない。アンセル・エルゴートくん、魅力的ったらありゃしない。ぽにゃっとまるっこい感じのベイビー・フェイスで、愛らしくふんわりとしたマシュマロ系なのに、立ち上がったら、なんだそりゃ?!な長身9頭身??で、手足も長く、かつ優雅で、余裕で踊る。
 ヒロインのリリー・ジェイムズは、「かわいすぎか!」ボタンを連打せざるを得ない。レコーダーをもってしゃべったり、うたったり、なんじゃそりゃかわいすぎか!!、青少年の夢か中年の夢か!!

おとなたち

 この二人の行く末が、ともかくも、心配で心配ではらはらどきどきの展開で、おばさんにはそこは胸がきりきり痛むようなせつない展開で。そんなうたれ弱い観客への息抜きかつ劇薬になるのが、悪そうな悪い人たち。
 ケヴィン・スペイシー手塚治虫の描く丸い悪い奴みたいに愛嬌たっぷりで丸い悪い悪い。悪いのなんのって。そして最後はやっぱりいいやつかよぉー??(それでいい)。ベイビーや手順を説明するとか、エレベーターとか、そういう何気ないところで、うまい。さすがうまい。あんまり動いてないのに、身振り手振りとか仕草とか、怖さうさんくささたっぷりで最高。
 ジェイミー・フォックスはそれと違うベクトルで、悪すぎて最高。本人もこんな人なのかな?? 悪いかっこよさももちろん、ひねくれちゃってこじれてこじらせてってのが最高。テキーラあたり、最高です。
 ジョン・ハム、なんなんでしょうか、このひとのかっこよさは、色気とか攻撃性とかイケメンのままの粘着ぷりとか、こんなにかっこいい大人の男がいるのか?!、と新たな扉を開けてくれるのに十二分すぎて、フェロモンが過剰。
 その46才の色気ありすぎる男に負けないのが、27才のエイザ・ゴンザレス。最初のシーンもかっこええし、ファミレスのシーンとか、最後のガンアクションとか、かっこよすぎてめまいがした。27才ってなんですか20代ですかはああすげえ。それがエロいとかセクシーとかフェロモンとか、そういうものはもう当然装備でその上での魅力がいい。

 エドガ監督は面食いかな…… 美意識高すぎかな……

シーン

 ベイビーとデボラの出会うシーンはメロメロだし、イヤホンわけあって聞くのもキュンキュンだし、この映画のすごいところは、そのイヤホンを一つずつのシーンを、組み合わせをかえて何度も見せてくれるところだ。イケメンとイケメンが顔を近づけて聞くシーンなんてもう、そのまえに若いふたりのシーンがあったから、いろんなツボをあっちからこっちからおされているようでのぞのぞぞわぞわ。

 ベイビーとおじいちゃんのシーンは、まさに筆舌に尽くしがたい。おじいちゃんはこの映画の中でヒロインよりMostにBestかわいすぎるし、おじいちゃんと話すベイビーが、かわいさと色気のミックスがすごくて(気を許しているからこそのセクシーさダダ漏れってなんでしょう)、ふたりが並んで字幕表示しているテレビを観ているシーンとか、いちいち胸にせまった。終盤の、おじいちゃんを助けて、抱えて運んで、預けようとするところはもう、頭バーン!!と爆発しそうな、これは萌えなのかなんなのかよくわからない感動だった。

音楽とアクションと

 そもそも。
 全編すごいのは、音楽とカーアクションだ。
 冒頭のカーアクションと音楽は、いきなりテンションぶばーんとMaxに引き上げられ、いきなりすぎてこんなに一瞬でテンションあがるのやばいんじゃないかと心配になるくらいで、そのあとのベイビーがコーヒーを買って街を歩いて行くところは、カームダウンするはずなのに、かっこよすぎて余計にまたテンションがあがる。血管キレる。
 この感覚、そう音楽にぴったりと映像をはめるやつ。MVとかそんな次元じゃない。むかし、日本のアニメではわりとあったのだ、「ぞわ」っという感じの。そのすごい進化形の実写版がある。単に音に動きを合わせただけではなく、心情やテンションの移り変わりもシンクロする。それがほぼ2時間途切れることなく続く。冒頭からすごかったので2時間続くの大変かなと思ったら、全然そんな心配はない。音楽のための映画ではなく、映画のための音楽でもなく、全体でぎゅぎゅっと一体化している。そのあまりのハマリっぷりがもう恐ろしくて冒頭から、監督やばいいっちゃってる…変態かな変態だわ…と、ぞわぞわしっぱなし。
 人間の動作をあてるのは、役者さんすごいわ監督どれだけねばったんだ、となるけど、車やガンアクションのシーンまではまっているのはいったいどういう仕組みだろう??。「ガガガガガン!」という発砲が、銃の音であり、音楽であり、その人物の心情や、シーンの最大の感情でもあり、何層も重ねられ融合してせまってくるわけだから、観て聴いて体感しているほうも、掛けあわさってよくわからない感情があがってくる。それがすごいいい。



 劇中でもボニー&クラウドかよ、って台詞がでてくるけど、ふたりで悪いことをするわけじゃないのに、出会ったときから、それを意識していることが十分伝わってくる。だとしたら、破滅的なエンディングを想像してしまうから、さいごのさいごまで、はらはらどきどき。
 悪いことする人たちも、ようしゃなくぎったんばったんやられていくけど、ジェイミー・フォックスの死にっぷりは観客に十分予知させた挙げ句だけど、「わー!!」と爆発する瞬間。そこからガチッとジョン・ハムのターンになるのもしびれる。
 猛烈なアクションのほかに、会話劇もある。もっと英語や英米のカルチャーがわかったら。楽しいんだろうなあと思うやりとりも多いけど、これから「あれはそういうことだったのか!」という発見もあるはずだから、そういう映画もすごくいい。(ファミレスのシーンいいよね…サイコーだよー…)


 隅から隅まで変態的なこだわりと美意識がみちみちに詰まっている作品はいい。何度でも観られるし何度でも味わえる。無限スルメ映画だ。誰にでもオススメかどうかはわからないけど、はまる人は多いと思う。あまり映画を観に行かない人こそ、年に1本、いや三年に1本の映画にどうですか?! 上映館数少ないけど、これから増えるはずだから。