小津安二郎はえらい有名な映画監督だ。いまはデジタルリマスターの映像が増えて、だいぶみやすくなっている。
でもなにがどうすごいのか、すごく難しい、わからない。敷居は高い。芸術的な映画なのか? そうでもないらしい。
ネットで小津安二郎の映画がなにがどうすごいのかと検索してみたが、検索キーワードも不足しているせいか、うまく説明している文書にたどりつかない。ただ、なんとかのランキングが一位とか、好きな作品一位とか、いろいろすごそうなのはわかる。
でもわかりにくい。白黒だし。淡々として、画面に動きがないようにみえる。役者が不自然に動きを止めているようにすらみえる。台詞ははっきりくっきり、淡々としてるのに、ふっとこちらのなかに入ってくる。
視線の低さが有名だけど、そればかりというわけでもない。
そんなわけで、小津安二郎の映画はいっけんチンプンカンプン。
だが。
しかし。
ちょっとぼやっとみているうちに、気がつけば圧倒的に圧倒される。映像の連続がいつのまにか自分のなかに流入してるとか、自分がその継続的なものにのみこまれるような。独特の感覚。
癖のある美味しいたべものみたい。食わず嫌いではずっと避けるけど、おそるおそる食べてみるとじわじわと美味しさにはまっていく。
毎回、よおっし小津安二郎だあ!、とかじりついてみるわけでないし、最初から最後まできちんとみたことはない。
そういうところも珍味の美味しいものと似ている。