茶ぶろぐ

おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

パーセルの歌劇『妖精の女王』を観た

 北とぴあで金曜日の公演。
 客層は65歳以上がほとんどか。自分も親の代打チケット。
 5幕構成。3幕と4幕の間に20分の休憩。前半が2時間弱、後半が1時間強。
 舞台の上にオケ、その上にお芝居をするステージがくんである。字幕は細ながーい電光掲示板の柱が両サイドに。
 席は前から5列目あたり。ずっと見上げっぱなしで、首から背中がすごい疲労で次の日も大変だった…。

 パーセルは17世紀後半のイギリスの作曲家。歌劇『妖精の女王』は台本はほぼほぼシェイクスピアの『夏の夜の夢』ヒポリタは出てこなかった。
 昔読んだけど、予習はしていった。恋人たちやろばの頭とか、こんがらがるよね。

 歌劇だけど、芝居をする人、歌う人は別。
 だからといって、妖精の女王の役が芝居する人と歌う人と二人いるわけではない。妖精の女王はお芝居、女王のために歌う妖精たちの中にソロや合唱がいる塩梅かな。説明難しい。(ダンスはなかった!)

 芝居の部分の台本は、パーセル的オリジナルにどれほどアレンジがくわわっているのかはわからない。喜劇なので笑いはとる。台本的な笑いも、現代じゃぱにーず的笑いも。

 おっとそういえば、『夏の夜の夢』についての知識は、ほとんど、『ガラスの仮面』ですよもちろん! パックはイケメン風の男の人が演じていました。ふわふわな仕草は、風の妖精だからですかねぇ。「韃靼(だったん)人の矢よりも速く」とか、いろいろ決めぜりふは読み思えば。でもシェイクスピアの有名な台詞はたいていそうなのだが、そんなに「決めぜりふぅ!」みたいには言わないんだよね。


 古楽器の演奏は素晴らしかった。
 ソロは人によって歌い方が違うのが惜しい。うまいけどさ。
 役者はそれなりにキャリアの人ばかりぽいのだが、叫ぶとほとんど何を言っているの台詞がききとれない。芝居をやるには1300のキャパは大きすぎることはわかる。だが、テンションあがると「ワギャガギャギャアアーーー!」みたいな芝居になる、こういう演劇どうにかなんねぇえの?? ってすごい思った。衣装や舞台のデザインはよかったので特に。演出もよい。でも何いってるかわかんない。テンション上げてもちゃんとしゃべって! 根本的には日本語の発声の問題になってしまうのかな。


 歌い方の違い、お芝居の違いで、17世紀イギリスのオペラを古楽器で現代の日本で上演するという意義について考えてしまう。全体としてエンタメ度が高く、お祭り感のある演出だったので、結果として、演奏はあまり印象に残っていない。でも3時間半退屈せずにきけたのは、たぶんすごい良かったのだと思う。だがしかしエンタメがすぎていて、音楽にききいる、という姿勢には、私はならなかった。できなかった。)実際の姿勢がずっと見上げていて苦しすぎたせいもあるけれど。)


 ちかすぎたので楽器があまり観察できなかったが残念だが、音は聞けた…のかな…。オーボエがかなり音が大きい部類にはいる。必然演奏頻度がちょっと低くなる。通奏低音の人はなにか持ち替えていた。チェンバロ?の人も持ち替えたり。
 指揮者の方は大変貫禄があっておちついていて、ユーモアもあって、大物感があった。日本にもこんな人いるのねぇ(すごい久しぶりにプロの演奏をきいたやつがわかったようなこといいます)古楽奏者の方々、女性は普通だけど、男性は前衛アーティスト風の風貌の人が多い。かな。ティンパニ?のような打楽器の音が、昔だからあまり音程がないせいか、ドコドコドコドコ楽しい。
 歌もね、古楽な歌い方はもう、そりゃもう大好物っすよ…? しかし少数派であったかなぁ…。皆さん歌もお芝居も上手なのですが、外人さんのお芝居感が全然違っていた。「はい歌います! 歌ってます!」ではなく、語るように自然に歌うのだ。だから幸福感も哀切感も増し増しになる。


 楽器、意匠、歌、演劇、の順に、理想から遠くなる。声、言葉。体格、骨格、盆踊りの宿命。でも歌は楽器同様、少しずつ良くなってる、多分。だが演劇はまだまだほど遠い。近づく気は無い、遠くなろうとしている? シェイクスピアの国と同じ道を歩む必要はない、日本独自の演劇の道を…、というほど、何かが確立しているわけでもないし。伝統的な演劇はレベルが高いがノウハウ諸々は世襲制の寡占状態だからな…! なかなか難しい。音大も美大もあるけど、演劇の専門大学はないもんね。そこ問題。

 現代の日本に生きる私たちが、遠い過去の遠い文化のお芝居を上演する。いろんな味が味わえるフルコースになっていたけど、より洗練されたものが日本で上演されたら、もっとたのしいいいいい。


 追記:
 クラシックの歌というと圧倒的にドイツ語、中世ならラテン語も多し。だがパーセルは英語。なんだかそれだけで笑ってしまう感が最初しばらく続いた。ヘンデル(ドイツ人でイギリスに帰化)の ♪きーんぐおーぶきーんぐ のツボがある。