茶ぶろぐ

40代のライフスタイル@TOKYOブログ

又吉直樹『火花』を読んだ

 東山彰良と『流』と又吉直樹『火花』をあわせて購入。羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』は単行本がでたら買う予定。受賞直後には書店にあったが、昨日は品切れしているようだった。


 冒頭を立ち読みしたときは、ちょっと読みづらいので自分は読まないな、だった。買ったのでちゃんと読む。会話が多くなると、おもしろくなった。関西弁の会話の調子の良さは、ずるいほどだ。中盤は、「一生懸命語っているのを一生懸命聞く」という感じで、がんばって読んだ。後半はつるつるとすすんだ。


 芥川賞は、文藝春秋という民間の一企業がやっている賞のひとつだ。
 芥川賞の選考委員の人たちの名前をみて、どれも1冊も読んでいないということに、我ながら驚いた。9人のうち、8人は名前を知っていた。代表作のタイトルも知っているのは、5人だった。
 芥川龍之介の作品はくり返して読んでも、芥川賞受賞作はあまり読まない。本屋にいくとついハヤカワあたりをうろうろしてしまうし、時々心を入れ替えて日本文学を読もうとすると、古典から読まねば、と古典を手にしてしまうからだ。気づくと海外の古典や、海外の現代小説を手に取っていることは多い。
 なぜ現代日本文学はもっとも縁遠いのか。自分が読書家でなく、読解力が低いせいだとは思う。つまらない、おもしろくないと思ってしまう。


『火花』は、それなりにひきこまれて最後まで読めた。欠点はいろいろある。超おもしろい、超感動した、絶対必読!、なんてことはない。
 お笑いに対する飽くなき執念を感じた。お笑いや漫才、相方への愛情や、いろんな深い感情の存在を感じた。同時に、ある日いきなりスッと切り捨ててしまいそうな危うさも。


 たけしがお笑い芸人であり映画監督になったように、お笑い芸人であり小説家になるのかな。最近は役者になる人も多い。それだけ「お笑い」は才能や野心をひきつけるのだろう。


火花
火花
posted with amazlet at 15.07.23
又吉 直樹
文藝春秋
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 しおりがはさんでいたところが、紙がへこんで跡が残っているのが、驚きだった。『流』はつるっとしていて、しおりをはさんでいたところはもうどこかわからない。紙質が悪いのか、しおりの質が悪いのか、それとも逆に、上質なものの証なのか?