茶ぶろぐ

40代のライフスタイル@TOKYOブログ

映画『メッセージ』観た(とちゅうからネタバレあり)

 映画『メッセージ』観てきた。面白かった。とてもいい映画だった。

www.message-movie.jp


 ネタバレぽい記事をみるたびに薄目にしてクリックする誘惑に耐え、ようやく映画館にいくことができた。


 面白かった、面白かった、面白かった、そして、とてもいい映画だった。


 なぜこの作品が気になっていた理由は、原作が短編(中編)であるとか、賞をとっているとか、エイミー・アダムスやジェレミー・レナーがでていることだろうか。短編が規模の大きい映画になるのは何だか気になる。たいていは小説ははしょられて映画になるものだ。短編だとどうなるんだろう、とか。


 以下ネタばれありである。この映画は、あらゆる映画と同様に、前知識など全然なしにいったほうが、ひゃくおくばい面白いので、未見の方はさやうなら。



 エイミー・アダムスは名前はよくしっているけれどちゃんと観たのは少ない。だが『魔法にかけられて』を観たときの衝撃はすごかった。ああああこのひとすげええ!!、と思った(調べたら『her/世界でひとつの彼女』も観てた。同じ人だったのか! な認識レベルでお恥ずかし)。今作品では、もういろんな意味でたまらなくよかった。基本疲れた中年のおばさんであること。こういうふうにとってくれた監督にすごく感謝したい。それでいて、女を捨てたとかではなく、魅力的にみえる人には魅力的であること(ほとんどの人がそういうものでしょう)。ドレスアップしたらそりゃあすっごい美人ですが。そして記憶や意識、感情が交錯する演技がすばらしい。過剰にならず、神経質すぎず。SFなので通常以上の、体験したことがない感情の動きを演じるのである。すばらしくて、すばらしいので、面白くてかつ感情に深く訴えるものになっていた。おおづめのふよふよした空間で対話するシーン、あんなにシュールで変なのにすごく彼女が美しくみえた。


 そしてジェレミー・レナーがきゅんきゅんズキュンだった。演じるイアンが登場シーンから「ずきゅん!」と小さく撃ち抜かれた。この登場した”瞬間”に、というのは、とても大事だ。主人公が出会うシーンでもあるからだ。男女の出会いにありがちな、第一印象は最悪だった、でもなく、第一印象から決めてました、でもなく。ただ観客の自分は、「うお! かわいい! めがね!」とじたばたしていた。ついったーで、ジェレミー・レナーとマーティン・フリーマンの区別がつかない人がたまにいる、というのをみかけて、合点がいった。なぜか好みのタイプなのだ。ただジェレミーは「そして殺す」や(元ネタを知らない)、マーベルのホークアイのように、ちょっと武闘派である。でている映画も、ゴツイ装備をしている軍人の役が多いようである。だから気になる役者さんだけど、なかなか堪能する機会はなかった。
 この映画では、すごくおちついて、観て、聴くことができる。あぁ、いい声。過剰でないかわいらしさ。出会いのシーンで話かけるところも、最初のセッションが終わったところも、歩くところも、主人公と少しずつ距離をつめていくところも、もうぜんぶステキ。


 原作を読んだ人や、ジェレミーの熱心なファンの人のなかには、イアンが原作と違って役にたっていない的なぼやきがみられる。いやいや、ジェレミーたしかに贅沢だけどいいお仕事していると思う。
 作品はいろんな要素が盛り込まれているが、ルイーズとイアンの恋愛、愛情も重要な要素の一つだ。ジェレミーはその愛情がだんだん、やさしくあたたかく、満たされていく感じを、すごくうまく演じていた。だからこそ、愛情があるからこそ、よけいに切なさ倍増なのだ。愛情故に、やがて子どもも生まれる。


 他にも良かったところや、気になるところはたくさんある。小難しいSFかと思っていったら王道なところもあるし、北海道に出現したやつに対応する日本はやっぱりシン・ゴジラ風かなぁとか、あんなにすぐ暴動が起きるのかあいかわらずだなアメリカ…とか、中国ってあんな国のシステムだっけ、とか。
 淡々としたインテリ風なSFかと思いきや、美しく絵画的で叙情的であり、じわじわ何がでてくるのドキドキ感もあるし、くすりと笑えるところもあるし、少女のかわいさに癒されるし、ハラハラするし、切ないし、音楽も美しくかつSFぽいかなりシンプルにベタなのとか、サービス精神盛り盛り。いろんな要素を詰め込んだすばらしいエンタメ映画だった。


 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのようにキラキラドカンのSFも好きだけど、こういう落ち着いてしかしスリリングでもあるSFも大好き。ほら、SFって楽しいだろう??? と人にオススメしやすくなる。


 これから小説を読んだら、感想がどう変わるだろう。小説を読んだら映画の印象がふっとびそうなので、しばらくしてから読む。


 そもそも小説のタイトルは "Story of Your Life" 『あなたの人生の物語』で、映画の原題は "Arrival" で、映画の邦題は『メッセージ』。これについては邦題のほうがいいかなぁと思うけど、二度三度映画をみたら、"Arrival"の意味も分かるのだろうか。



 カバーがばかうけverになっているけど、そうじゃないverがかっこよくてそそられて買ったのかなという記憶が。