読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

脊髄反射でオブラート

chaoruko@HatenaBlog

『ドクター・ストレンジ』2D吹替版が最高の最高だった

 観たのは水曜日レディースデーで映画の日。いつもならぼんやりとしたおばさんばかりだけど、家族連れ、男子ふたり組、男子三人組など、いつもとはちがう雰囲気。IMAXでの、さぁこれから観るぞ!!、な上映に比べると、ゆるい。(値段もだいぶ違うからね…)


 さて吹替。吹替ですよ。吹替なんですよ。ベネディクト・カンバーバッチの吹替といえば、そりゃもうな感じで三上哲さんですが。それはもうもちのろーんで最高だったが、


 ぜんぶすばらしかったーーー!!(大の字)


 樋口可南子さんが本当に本当にすばらしくてありがとうひきうけてくださってと土下座感謝したい。最近はすっかりホワイト家のお母さんなのだけど、ちゃんとした女優さんなんだなあ。ゲゲにょの松下奈緒さんも少し低めの声で落ち着いて、驚いたりするところはかわいらしくて、クリスティーンにあっている。洋画とくにマーベルの有名人非声優枠でこんなに良かったことはないのでわ(そんなにみてないけど)。
 マッツの吹替はレクター博士と同様に井上和彦さん。かつてはイケメンのお兄さんの代名詞の一人だったけど、最近はすっかり非人間かつ悪役づいていて、そりゃもううまいにはきまってるけど、カエシリウスはどうなのかしら〜なんてちょろっとでも思ったのがあほでした。声の質は似ていないのに、あってる。かっこいいし、にくらしいし、かつ長い台詞のところ、マッツでも感動したシーンだが、吹替でもぐっときた。
 女優陣とは別の意味で「大丈夫か…?」と思われていた、モルドの小野大輔さん。第一声イケボで笑ろたではあるが、すごいよかった。私のなかのイジョフォーさんのモルドは影のあるイケメンインテリなので、小野Dさんはまっていた。モルドの表情ともすごくあっていた。顔の動きにどんぴしゃでさすが。でもモルドの顔がうつっていない瞬間は、もともとジョジョの雰囲気と似たところが多いので、かなり承太郎でちょっと笑ってしまった。洋画洋ドラの吹替で大きな役はまだないみたいなんだけど、こういう感じの吹替はすごく好きなのでもっとやってほしい。
 ウォンの田中美央さんも妙につぼって大好き。モルドとウォンの吹替は、タイミングのはまりっぷりが爽快なくらい。王道なのだろうか。次回作は、中の人的にもモルドとウォンの出番やおしゃべりや台詞が多いといいなぁ…。


 さて三上哲さんによるストレンジの吹替。みた人の感想を読むと、吹替だとシャーロックにみえてしまう人もいるようだが、わたしは逆。吹替のほうがそれぞれのキャラクターにみえる。吹替でみたのは、シャーロック、STID、今回のストレンジぐらいなのだけど(トータルの尺はながい)。IMAXで最初に字幕でみたときは、知っている俳優さんが多い故か、キャラクターより俳優さんに意識がいってしまった。吹替のほうが、それぞれのキャラクターや物語や世界に没入しやすいし、できた。二回目だから落ち着いていたせいもあるかも。
 ストレンジがおしゃべりで、ぺらぺら始終しゃべっているというのも、吹替で気付いた。エンシェント・ワンもけっこうたくさんしゃべっていた。台詞の説明が多いから、語りができる役者、吹替じゃないと成功はなかっただろう。ストレンジは映画のなかでヒーローとして目覚めていくから、立場や気持ち、表情の変化があり、その多彩さをベネディクトはみごとに演じているから好きなのだけど、吹替もそれにばっちりはまっていて、きっちり楽しい、とても良い仕事だった。


 吹替はともかくも圧倒的に俳優の目や表情をガン見できる。ストレンジは表情がくるくるかわってかつ美しい。カエシリウスも、冷酷な悪役なのにちょっとした表情がにくらしくかっこいい。エンシェント・ワンもかわいらしく繊細で、モルドは最初は前向きポジティブなのに、どんどん苦悩が深まるのが地味にすごい。


 日本での洋画や洋ドラの普及や成功には、レベルの高い吹替が必須だ。シャーロックだって、ホームズもポワロも、たくさんのアメリカの医療ドラマや刑事ドラマも、吹替が良かったから、ドラマも俳優も人気がでてきた。人気作の洋ドラはたいてい吹替もすばらしいのに、映画はなぜかそうではない。人気の映画でも平気で地雷が設置される。本人の評判とファンの意識がふっとぶ。
 声優を使えというのではない(下手な声優も多い)。ちゃんと声を出し、言葉が伝わるように話し、役柄を把握し、感情をのせる芝居ができて、タイミングを合わせられるなら、人気俳優でもお笑い芸人でもいいのだ。


 改心のできばえだったこの吹替。これを機に、利害関係者たちは、ちゃんとした仕事をできるひとにやってもらうように、心をいれかえてほしい。誰も幸せにならないことはやめる勇気をもとう。過去のことは水に流すから。再録音版だしてくれてもかまわないし。一度できた映画は寿命は案外長いのだし。