茶ぶろぐ

おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

逃げ恥 第10話でぐるぐる考えてしまった

火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』|TBSテレビ

 後半になってかぶりつきでみている。12/13放送の第10話は、15分拡大版。「ドラマの拡大版というと、くだらないどうでもいいシーンが追加されてつまらない」という偏見がある。だが逃げ恥はまさにその拡大したところに、大どんでん返しをぶっこんできた。
 予兆はあった。いいかんじになっても、イチャイチャしても、ロボホンが壁をこえても、あやういところはずっと主人公のみくりにあった。
 それにしても10話を通しての平匡のフェイクな行い。必死に調べたり、電話かけたり、電話に驚喜したり…。


 すさまじいアメとムチ。ふわっふわ甘いスイーツ山盛りのあとに、激烈に苦いものをのまされたような。前半のイチャイチャ、合間に大人の恋の王道ドキドキ展開をいれつつ、じわじわと垣間見せる闇のような気配。現実をみているのに目をふさいでいるようなみくりのモノローグ。「やりがい搾取」という前ふりからの、「好きの搾取」。
 あんなプレゼンをした平匡は確かにバカだ。ああいうことはひとりで考えてはいけない。「リストラされます。どうしましょう」とまずみくりに話すべきだった。とはいっても、彼らは、彼氏と彼女になりたてであり、これからだいたい同じ方向をむきつつだいたい一緒にいようと決めた、運命の糸を結んだパートナーと心を決めていない。
 みくりは、いままで彼を観察してこざかしい考察をくり返してきたみくりは、彼のそのバカな側面に気付いてもよかった。「何があったかまず落ち着いて話してください」「いっしょに考えましょう」などなど。彼女は「やりがい搾取」や、やるきとそれを収入にすることへの狭間で、自分の価値について気をとられていて、そこまで考えることができなかった。相手を思いやることができなかった。この「相手を思いやるべき」というのも「好きの搾取」かもしれない。「好きなら分かってあげられるでしょう」ひどく危険で重圧になる言葉だ。


 みくりはそもそも就職できなくて、プロフェッショナルな家事職人の道も選ばず、契約結婚という発想で…、なんておかしい。いっしょにいたい言い訳をこざかしい知恵で考えた末のそれじゃないの?、というツッコミは思考実験にならないので、さておき。スタートのシチュエーションを作るための多少強引な設定はさておき?


契約結婚」という実験故に、年の差の話があまりでてこない。原作はあまり年の差がないのだろうか。あらゆるパートナー同士には、様々なギャップがある。♪育ってきた環境がちがうから〜、なわけで、同じなんてことは、ほとんどあまりない。同じがない、違いがある、だからお互いのことを知って、お互いのことを譲歩しあう。年齢差だけは、絶対にうまらない。10才差なんて、よほど肉体作りを意識していなければ、40代にもなればすぐに大変なことになる。SEなんて座りっぱなしの職業だし。
 17才は違い過ぎて、それが前提なら。老いたあと確実にはやく別れがくるけれど。それのために生きている間の愛を封印するこたあないけど。百合ちゃんは、その歳月の重みがよくわかってそう。


 個人的には久しぶりの岡田浩暉さんが、響きすぎる低音ボイスで、百合ちゃんとの距離とか空気感が絶妙で、なかなか好演している。「クレイマー、クレイマー」とか展覧会で風間くんのことをきくところとか、17才ときいてのリアクションとか。(「クレイマー、クレイマー」はいまのひと知らんよね)


 次回にどうなるか。最終話ではあるけれど、現実ではそこは最後ではない。彼らはそのとき、どういう選択をするのか。変な話だけど、その結論はもうあまり気にならない。よほどミラクルな、転職しなくてよくなりましたー! のような展開でなければ、批判はない。原作を読んでいる人は、もう結末を知っているんだなぁ…。ドラマがそれと同じかどうか、わからないけれど!



 ドラマが終わったら読んじゃうかもしれない。

逃げるは恥だが役に立つ(1) (KC KISS)
海野 つなみ
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