脊髄反射でオブラート

chaoruko@HatenaBlog

『キングスマン』におけるつながりの良さ(ネタばれあり)

kingsman-movie.jp

 ダメな人はダメなようで、自分もどっちかわからないなぁと思っていたが、描写力がそれを上回った。
 良くできてるなぁと思ったのは、「つながり」である。
 以下ネタばれあり。


 場面、物語のつながりは勿論だが、ハリーからエグジーへ、コリン・ファースからタロン・エガートン(エジャトン?)へと、うまくつながれていく。
 主演はコリン・ファースだが、物語としては、新人スパイ成長物語なのだから、エグジーが主人公でなければならない。だが本当の新星でいきなり映画は作りにくいし、「キングスマン」という存在をきっちり示すためにも、模範となるキャラクターが必要である。キングスマンは現実の世の中的には新しい存在だけど、物語の中では、伝統的な英国紳士のある種の極み的存在である。続いてきたもの、かつ、次につながるほどの価値があるものであるとしめさなければならない。コリン・ファースはまさに具現化していた。監督の手腕ももちろんあるだろう。ガチガチの重すぎる紳士でもなく、こんなスーツ着てるけど現代的でフットワーク軽いんだぜ〜と軽すぎでもなく。さじ加減がとても良かった。そこがたまらなくひきつけられる。そして物語がすすんでいくうちに、「コリンかっこいいわーさすがだわー」が「え、このエグジーの人、かわいいかっこいい…!」と、タロンくんのほうに、シフトしていく。


 悪役の用心棒にして最強殺し屋ガゼルは若い女の子。ハリーおじさんと若い女子のアクションシーンで萌えるかなーどうかなーとなんとなくあやしんでいたら、どっこい、じゃあここからは若い人同士で!。
 それも、ハリーの死をきっかけにエグジー覚醒…!、などと安易ではなく、つよしさんことマーク・ストロング演じるマーリンのアシストをうけながら、少しずつスイッチが入っていく。スーツを着る、「いやこれは私ので君はあっちの」と武器をゲットする。先輩を執事にする小芝居をして、敵のまっただなかにはいっていく。成績一番のはずの女子は塩梅に別件タスクで別行動させるところも隙がない。
 そして宣伝文句通りのキレッキレのアクション。(それがめまぐるしいのにわりと目が疲れず見やすい若い人以外にも有り難い映像。)映画冒頭では最強ぷりをみせつけたガゼル嬢相手に、エグジー大奮闘。あらあらいつのまにこの子が一人前に…!、と見守りおばはん的感動をおぼえつつ、キャラクターにいれこむと同時に役者さんにもぞっこんになる。

 よくできた映画や。

 小物もきっちりしている。トラッドな純英国産に仕込まれる、伝統的かつSF的なスパイグッズ。衣装はスーツも羽根付きスニーカーもステキかっこいいし、かわいいわんこもでてくる。
 映画全体も、ハリーは生きてるの死んでるの?、とあからさまに曖昧な演出をしつつ、次作へ続けられるようになっている。

 ほんと、よくできてる。

 話は皮肉と暴力てんこもりでFワード連発で下品なネタもあるけれど、見終わったときの妙な爽快感と充足感は、タロン・エガートンでしめるからだろう。新しいキングスマンと役者の誕生を、両方見届ける。エグジーの今後の活躍も気になるし、これからタロンはどんな役をやるんだろうか、もっともっといろんなものを見てみたいと思う。一つの作品を鑑賞し終えたとき、この作家の他の作品や次を読みたい見たい聞きたい、と次につながる期待があるのは、作品に対する最高の評価の一つだと思うので、キングスマンは本当によくできた映画だと、繰り返し思ってしまう。