茶ぶろぐ

おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

ハシビロコウさんの人気の秘密

 日曜日に上野動物園へ行った。ハシビロコウのエリアにたどり着いたときは、3時すぎだったのだが、大きなビルがにょきにょき建ってしまったせいで、ずいぶん日陰がおおっている。ハシビロコウは寒いのは苦手なので、もしかしてもう外に居ないだろうか、と思ったら、ちゃんといた。室内の、暖かいランプの下にいる様子も、外から見やすくなっている。ずっと以前は、ハシビロコウは入り口から入った右手の鳥類の並びにいたはずだ。いまはすっかりスター。
 一匹は小屋のなかにいて、ランプのしたにたたずんでいた。ハシビロコウさんらしくあまり動かない。アジアの外国人らしい人が、カメラをのばして熱心に白黒撮影していた。別の一匹は、別の小屋のランプの近くにいて、ぬそ、ぬそ、と動いていた。とちゅうで飼育員の人が入ってきたが、あまり気にするようすがない。飼育品の人もかなりふつうである。
 そしてもう一匹が、寒空でアクティブだった。
 時々翼を広げたり、歩き回ったり。かっこいい。
 小屋からでてきたところらしく、たちまち人がわーと集まってくる。
 周囲を囲む網の近くまで、すなわち見に来ている人のかなり近くまでくると、じっと止まったり、スローモーションな動きで、草むらをわしー、わしー、わしー、と踏んづけて動いている。
 なぜかよく動くタイミングだった。
 頭をゆする。それだけで大きなくちばしがカコカココとなる。また、細い木のそばに、細い竹がささっていたのだが、そこに、身体をぐっとまげ、白眼を向いてクワっと噛みついてカタカタ鳴らす。
 白眼をむいているのではなくて、目を閉じているのだ。目を閉じた瞬間が、白眼をむいたように見えるのだ。モンハンのモンスターみたい。怪獣をデザインする人は、ぜったいこれみてる。
 何だかともかくもよく動いてくれて、寒さのなか人が集まっていた。「なにこれはじめてみた!」「ハシ、ハシビロ、コウ?」など声をあげる、初心者の人もいたようだ。

 ハシビロコウはかなり大きな鳥で、基本あまり動かない。かつ、ひとの近いところで、じっとたたずんだりする。美しい色と形の翼、からだ、大きなくちばし、ほわほわの寝癖などを、よくじっくり観察できる。動いてもちょっとゆっくりで、しかしダイナミックでかっこいい瞬間も多い。だから、動物などの観察になれていない人でも、観察しやすい。

 だから人気があるのかなー、と思った。
 鳥はたいてい美しく、あるいは可愛らしい。可愛くない怖いのもいるけど。鮮やかな目を奪われる色を持つものも多い。しかしたいていちょこまか動き回っていたり、じっとしていても高いところや奥に隠れていて、観察しにくい。なかなか見やすい位置にはこない。ハシビロコウは強面だけど動物が苦手な人にやさしいのだ。

 見ていてずっと飽きない、という経験を久しぶりにして、寒いのにながながと見てしまった。