茶ぶろぐ

おとなのライフスタイル@TOKYOブログ

『ベイマックス』を観て色々モヤモヤする

 映画『ベイマックス』をみてきた。近所が吹き替えばっかりで、時間的に3Dがあったので、3Dの吹き替えで観た。

Big Hero 6 (2014) - IMDb

 日本の公式サイトが好かないので、世界のサイトを見てみようとしたら、無理矢理日本のサイトにとばされるというさすがグローバルボーダーレスの企業。楽しい気分なのでimdbにリンクを張る。

 タイムラインの評判ではなかなか良く、天下のディズニーの作品なので、かなり期待値を上げていった。それは裏切られることなく面白かったし楽しかった。日本の文化への愛を感じた。日本の雑多な諸々は、こんなにも海外の人に愛されている。すてきなことだ。日本のアニメを観ているようないろいろモヤモヤが沸いてきた。

 以下ネタばれあり。


タイトルは『ベイマックス』で良い

 オリジナルのタイトルは『Big Hero 6』なのに、どうしてベイマックスだけなんだ!、というつぶやきを公開前に見かけた。観てみれば、ベイマックスで問題なかった。あれで「6人のヒーロー!」と言われても、ぴんとこない。描き方が不十分。冒頭の紹介は流れ作業で頭に残らない…。

劇中で殺すのは変

 観に行く前は、お兄さんはすでに亡くなっていて、回想ででてくるかと思っていた。だが話は、生きているところからはじまった。最終的には博士の娘は生きていたので、死んだのはお兄さんだけ。殺さずに、異次元にふっとんだ、とか、昏睡状態におちた、とか、「生きているかもしれないけど不在」な描き方をしたほうが、日本のヒーローものに近いんじゃねーかなー、と思った。

話の流れがなんか変

 お兄さんが死んでしまうのが変、と思うのは、話の流れが、全体的に「あれ?」とひっかかるようなところが、わりとしょっちゅうあったせいだ。天下無敵のディズニーの映画のわりに、つっかかりとか唐突感とか、登場人物たちの心理の移り変わりとか、ついていけないことが多かった。もうちょっとうまい流れにして欲しい。いろんな人の意見を聞いてまとめて作ったら、こんなんなっちゃった感ある。

絵はとてもきれい

 街の描き方は病的なほど。近未来であり、ガタゴトきしむような電車が走り抜ける、現代の日本の大都市感もある。招き猫とか、かわいいアイテムがいろいろ目についた気がする。可愛くて雑然とした街。ベイマックスやメカのデザインもかっこいい。人物もアナ雪にくらべたら好きだけど、どうして女子のキャラクターはどこかとんがったところがあるのか。主人公兄弟は丸っこいところが、日本人ぽいのかも。

日本のヒーローなのか、アメリカのヒーローなのか

 観ている途中、日本のアニメをみているような感覚になるところもあった。音楽もちょっと変わったところがあって、そこらへんのせいもあるかもしれない。だが、日本のヒーローアニメや特撮を観ているつもりになって、これを観ると、おかしいところがたくさん出てくる。アメリカにおける「職業としてのヒーロー」。スパイダーマンとか、アニメのアベンジャーズとか、だいぶ慣れたはずだったのに、全然慣れてなかった。

ヒーロー作るための物語なのか

「ベイマックス」は、天才少年がヒーローになるためだけの物語や設定なのか。設定のために登場人物が作られ、悲劇や動機が作られ、物語がすすめられる。最終的に欲しいのは稼いでくれるキャラクター。そうなのか?、なんて思ってしまう。そうだとしたら、タダシを劇中で殺すことはなかったと思う。日本的発想かもしれないが。回想シーンや、生死不明にしておくべきだ。もし生きている可能性があるなら、あとからどうとでもなるわけだから。
 いやまて。タダシのお葬式のシーンがあったということは、遺体があったということだろうか。教授は?? 遺体は見つからなかったとか、どこかで言ってたのかなぁ。

対象年齢がわからない

 ベイマックスは対象年齢はどこらへんなのだろう。仮面ライダーをみる層ぐらいだろうか?。(仮面ライダーは基本みていない。大人向けすぎるんだろうか?)だとしたら、もう少し悪役について描くべきだし、主人公達は大学生だし、「ヒーローになるぞ!」ってあたりが、ナニソレ唐突感すごい。そこはもう、アメリカの人にとっては、常識だから問題無しなのだろうか…。


 全体的なモヤモヤは、俺たち日本LOVE!、といいつつ、いやそうじゃないよね…と思ってしまうこちらの先入観や前提や、カルチャーギャップによるものなのだろう。
 映画はおもしろいっす。楽しいし泣かせてくるし。でも、ソフトウェアのバックアップはフルでとってあるだろう?!、と内心はつっこんでいた。もちろん、ハードの個体への愛情は、すごいわかるけどね!。でもやっぱりどうせ作って帰ってくるんだから、やっぱりお兄ちゃんだけ殺してしまうのは、この先の展開を考えると、ちょっと惜しいんじゃね?、と思う。あ、実は遺体はなくて生きてました展開でもいいですけど。



 その他のモヤモヤ。日本語の吹き替えキャストの順番が、主人公達より、菅野美穂小泉孝太郎が先。二人とも仕事の内容自体はまぁ良いのだが、この表示は誰にも利益がないどころか、お二人の株を下げるだけだ
 映画の始まる予告編でも、日本の芸能界ぽいものがあった。映画『ANNIE/アニー』は日本でも有名な子ども向けミュージカルの映画のはずなのだけど、予告編に、劇中の音や声が一切使用されていなかった。使用NGのお達しでもでていたのだろうか。延々と流れるのは平井堅の歌声ばかり。堅ちゃんは好きだけど、この予告編は正気を疑う現場だ。関係者みんなが、少しずつ箍が緩んでいた結果、おかしいものがたまたまできてしまったのだと思いたい。